1.伊藤和夫の英文法
今回と次回では「大学入試英文法のナビゲーター上・下」を取り上げます。
伊藤和夫先生の英文法の本はこの本と「英文法頻出問題演習」が有名です。
その他に一竹書店(一時期復刊ドットコムから復刊)から出ていた「英文法どっちがどっち」と「英文法教室」があります。
「英文法どっちがどっち」はアマゾンで中古品でも10,000円以上という馬鹿馬鹿しい値段がついています。そもそも元々は数百円の本だったのですから、復刊されたものの値段でもかなり馬鹿馬鹿しい価格になっていましたが、絶版になると復刊されたものですらこんなになってしまうのですね。ちなみに
この「英文法どっちがどっち」は買う必要が全くない本です。
と、いうのもこの本の内容は「英文解釈教室 入門編」の各講の[1]で扱われているものとほとんど変わりない(本質的には全く同じ)ものだからです。逆に言えば「入門編」の[1]の部分だけを取り出して1冊にまとめ直したものが「英文法どっちがどっち」だと思ってもらえば問題ないと思います。だから、よほどのマニアか「学参コレクター」でもない限り、くだらないプレミアがついた本を買う必要は全くありません。ちなみに「英文解釈教室 入門編」を扱う時にこの辺については勉強法なども含めて詳しく書こうと思っています。
2.「英文法のナビゲーター」の成り立ちなど
さて、話を「英文法のナビゲーター上・下」に戻します。この本は旺文社の「大学受験ラジオ講座(ラ講)」で1992~1994年の3年(4~7月の前期のみ)に渡って「伊藤の英文法集中クリニック」の名で放送されたものを文字お越しした本です。
ラジオ放送では以下のようなカリキュラムでした。
伊藤の英文法集中クリニック(1992年:初年度)
(4月)
主語と動詞
時制(1)(2)
(5月)
仮定法
助動詞(1)(2)
(6月)
受動態
S+V+X(1)(2)
(7月)
S+be+X+X
S+V+X+X(1)(2)
伊藤の英文法集中クリニック(1993年:2年度目)
(4月)
Itの構文(1)(2)
名詞と動詞
(5月)
不定詞(1)(2)
分詞
(6月)
動名詞
名詞と代名詞(1)(2)
(7月)
冠詞
形容詞・副詞(1)(2)
伊藤の英文法集中クリニック(1994年:3年度目)
(4月)
否定(1)(2)
比較(1)
(5月)
比較(2)(3)
副詞節(1)
(6月)
副詞節(2)
形容詞節(1)(2)
(7月)
名詞節(1)(2)(3)
これが放送終了後にラ講テープライブラリ―「伊藤の「英文法」集中クリニック」(Part1~3)という形で旺文社より音声教材として出版されます。お察しのように初年度放送分がPart1、2年度目放送分がPart2、という構成です。
これがさらに研究社版の本書「英文法のナビゲーター」では上巻で「動詞関連」、下巻で「動詞関連以外」という区切れ方にしてあります。
3.伊藤英語体系の中での位置づけ
ところで「英文解釈教室」「ビジュアル英文解釈」「ルールとパターンの英文解釈」等、伊藤英語の解釈関係の本を1冊でも目を通したことのある方なら当然お分かりのことですが、伊藤英語、もっと言えば伊藤英文解釈(総合問題なども含む)は、
「英文法がある程度分かっているのが前提、もっと言えば英文法を道具にして英語を調理する方法論の体系」
である、と言って異論のある方はいないでしょう。
そしてこの本は、こうした解釈本などに進む前の英文法の確認書となっています。
なので、伊藤先生の英文解釈の本などに進む前にまづこの本を読んでおくとよいと思います。もちろん、この本だけでは演習量が足りませんので、英文法問題対策としては駿台文庫から出ている「英文法頻出問題演習(PartⅠ)」を併用すべきです。逆に言えば、この本を読み終えてあれば「英文解釈教室」シリーズや「ルールとパターンの英文解釈」にすんなりと(余裕を持って)接続できます。
(英文法のナビゲーター(2)へ)
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